家を増築する時には、役所への確認申請が必要となります。自分の家であっても、行政に対して許可を得ることが不可欠となっています。確認申請は自分でおこなうこともできますが、専門知識が必要とされるため、許可を得るための手続を遂行するには膨大な時間がかかることが多いです。そのため、工事を請け負うリフォーム会社や設計事務所などに確認申請を代行してもらうのが無難です。
増築は自由におこなえるわけではなく、制限があります。例えば、新築時に建ぺい率を限度いっぱいにして建てた場合は、その後に建ぺい率が緩和されていない限り、増築はできません。3階建てにするのも難しいケースが多いです。基礎部分の構造が2階建て用になっており、3階建てには対応できない造りであることが一般的だからです。既存の建物とつなげての工事になる場合は、異なる工法は使えない場合が多いです。工法が違うと、地震のときの揺れ方が異なり、接続部分により大きな負荷がかかってしまうからです。
建物がつながっていなければかまいません。建物がつながっていなくて、敷地内に車庫や倉庫などの別棟を建てる場合も、増築となります。増築とは、既存の建物の床面積を増やすことです。吹き抜けに床を貼って部屋をつくり、新たに床面積が増えるのもこれに該当します。この場合は外側から見れば、建物の容積が増えているようには見えませんが、容積は関係ありません。床面積の問題です。床面積を増やすに当たっては、現行の建築基準法に適合していることが当然ながら求められます。
最大の注意点は、既存不適合建築物についてと言えるでしょう。既存の建物が、建築当時は建築基準法に適合していたものであっても、建築基準法改正後の基準には適合しなくなっている場合があります。昭和56年6月以前に建築された建物は、現行法には適合していない場合が多く、そうした建物は既存不適合建築物となります。建築基準法以外に、建築後に制定された自治体の条例に合わなくなっているケースもありますので、その確認が必要です。
既存不適合建築物はたくさんありますから、現行法に合わない建物であるからと言って、申請がすべて認められないということにはなりません。ただ、建築時には建築基準法に適合していたものであることを示す必要はあります。現行法に合わない建物になっているのは、法律に反して建てたからではなく、法律が変わったためであることを証明しなくてはなりません。それを証明する書類が、既存不適格調書です。建築士が、現在の建物が違反状態ではなく、既存不適格状態であることを示す書類です。これがないと、申請できません。