いつかは庭のある家に住みたいという希望を持っている人は少なくありません。
マンションやアパートなどの集合住宅に住んでいる人は、狭くても庭のある生活に憧れを抱くものです。
庭のある家に引っ越したら週末には家族でバーベキューをしたり芝生を張った庭で日光浴をしたい。
夏には外でプール遊びもできるし、念願だったガーデニングも楽しめそう。
庭のある暮らしに何かと希望を見出して夢を見る人が多いのですが、実際には住宅地の庭付き一戸建ての狭い空間では中々思い描いたような活用はできないのが現実です。
ご近所の目があるので子どもはともかく、大人がプールや日光浴をするのはちょっと気が引けるし、池を作ろうとすれば蚊が発生しやすくなり、バーベキューといっても昼間の時間帯はご近所に迷惑をかける恐れもあるので中々おおっぴらにバーベキューを楽しむのもはばかられるものです。
芝生を植えた広々した空間にしようと憧れを持つ人は多いのですが、芝生は実はきれいな状態にしておくためにはとても手間がかかるものです。
そんなことを考えれば、外の空間で楽しめることというのは頭に思い描いた理想とはやや違っているかもしれません。
それでも小さくても庭を持つことで、家の中から眺める楽しみはあり、窓の外にも自分の空間が広がっていることを実感できることが最大のメリットだと言えます。
集合住宅のようにお隣の住戸と壁や床などで仕切られているだけだと、構造によってはかなり音や振動などに敏感になる必要がありますが、隣との間に小さくても庭という空間があることで、住空間が密着した息苦しさから開放されるのは庭付き一戸建てならではの感覚です。
そして鍵ひとつで戸締りが完了する集合住宅とは異なり、一戸建ての場合は防犯面にはかなり注意した対策をとることが求められます。
エクステリアも家のイメージを左右するものなのでおしゃれで洗練されたデザインを選べる楽しみもあるのですが、防犯性の高いエクステリアにすることも重要なポイントです。
自宅以外の他の住宅と密着していないことが庭付き一戸建ての最大のメリットであり、庭を持つということは住宅同士を密着させずに間隔をあける効果が生まれることです。
メンテナンスの手間は想像よりも負担が大きく、少しでも手入れをせずに済むようにせっかくの芝生を貼ったけれど、結局タイルなどで埋め尽くしてしまうという人も居ます。
庭を持つということは住宅の環境にゆとりを生むことになるのはたしかなのですが、引き換えに大きな手間と時間が必要になることでもあります。
それでも自分だけの癒しの空間である庭を持つということに強い憧れを持つ人が多いのは、庭を眺める楽しみに大きな魅力を感じるからにほかなりません。
建築コラム