家を建てる計画をするとき限られた面積で家を少しでも広く見せるために活用される工法のひとつにスキップフロアがあります。
これは床面の高さを半階分ずつずらして設置することで空間の中にあえて段差をつけるため目線上に高低差ができることで実際にはかなり狭い面積であっても広く感じさせる効果が期待できるものです。
基本的に数段の階段の昇降は必要ですが、部屋と部屋の間には壁などの仕切りが無いため建物全体に開放的でのびのびとした空間を実現させることが出来ます。
一般的な床面のフラットな家よりも、フロアそのものを高低差によって感覚的に実際の面積よりも広く見せる効果があります。
そして段差ができることで壁がなくても部屋として独立した場所にできるので、空間を無駄なく有効に使えるのが魅力です。
基本的には廊下を作る必要が無いので、その分デッドスペースが生まれづらく、収納スペースなどに使える空間を増やすことが出来ます。
天井を高くする設計に吹き抜けを作るという方法がありますが、吹き抜けが地上階から最上階までを使った大空間を作るのに対し、スキップフロアは縦にずらしながら短い段差によって各フロアをつないでゆくというやり方なので、一般的な床面のフラットな住宅よりもスキップフロアの高さ分だけ天井が高くできるということになります。
吹き抜けは広い空間を確保できる分空調が効きにくくなる為光熱費などが高額になることが心配されますが、高低差をつけた段差で繋がれた空間は吹き抜けよりも冷暖房のロスは少ないのがメリットです。
段差によって部屋の目隠し効果は生まれるので、それぞれの部屋のプライバシーは確保されるのですが、幼い子供を育てるにはとてもワクワクするようなつくりで子供の気配を常に身近に感じながら生活できるのでとてもおすすめです。
ただし、吹き抜けよりは負担が少なくて済むとはいえ、スキップフロアは家全体が段差で繋がったワンルームといった状態なので、一般的な住宅よりもどうしても空調が効きにくくなり光熱費がかかるのはデメリットの一つです。
また、各部屋に壁を設けないために生まれる開放感と引き換えに遮音性は低くなるので、生活スタイルに合わせて例えば遮音カーテンを取り入れるなどの対策をとることが求められます。
近年は車椅子での生活も考慮してバリアフリーの住宅が人気ですが、スキップフロアはそうした流れとは全く逆の構造になり、家中にたくさんの段差があるのが特徴なので、足腰の弱った高齢者が同居するにはあまり向かない造りとも言えます。
開放感を手に入れる代わりに起こるさまざまなデメリットにどんな風に対処できるか、事前によく検討することが求められます。