誰もが高齢になってくれば体の機能は衰え、ちょっとしたことでけがなどに繋がりやすくなることが考えられます。
家族の誰かが介護が必要な状況になったとき、安心して住みなれた家で生活できるように家の中を改修するためにはいくつかのポイントがあります。
まずは家の中でできる限り段差をなくすことです。
高齢者の足を持ち上げるという機能が弱まると、ごく小さな段差にも躓きやすくなり、転倒して骨折してしまったことでそのまま寝たきりになったという事例はけして珍しいことではありません。
勿論家の中での移動に車椅子を使うようになれば段差が無いほうがより安全に利用することができますが、車椅子を使用することを想定するときには廊下の幅や建具を引き戸にする等の配慮も必要になります。
そして車椅子を使用しなくても支えがあれば何とか自立して体を移動することができるような場合には家の中に手すりを設置するようになります。
手すりを設置することで安全に家の中で体を移動させることができるようになるのですが、手すりの設置に際しては利用する人の体型などを考慮することがとても重要なポイントになります。
手すりに体を持たれかけて歩く場合、自分の身長にあった高さに設置したものでないと中々上手く体重を支えることが出来ない可能性があり、せっかく手すりの設置をおこなっても使いにくいものになってしまうことも考えられます。
完ぺきにその人だけに合わせたものを作るのは難しいとしても、最もよく利用する家族が使い易い位置に設置することはとても大切です。
また、体が思うように動かなくなってくるとさまざまな危険が増すのがお風呂場です。
高齢者の浴室での事故はとても多く、入浴中に滑って転倒したというものから、浴室と他の部屋との温度差によって心臓に強い負担がかかって起こる事故などもあります。
ヒートショックと呼ばれるこうした事故を防ぐ為には浴室と他の部屋との温度差をなるべく少なくすることが大切で、お風呂場に専用の浴室暖房器などを設置することも効果があります。
また、足腰が弱った人でも楽に浴槽への出入りができるように、つかみやすい位置に手すりの設置をおこなったり、浴室そのものをまたぎやすい半分埋め込んだ形にするなども安全で使い易いお風呂場にするためにはとても効果が期待できます。
さらに1人で入浴することが危険な状態になったとき、家族の誰かの手を借りて入浴しやすいような工夫をすることも大切です。
建築コラム